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2024/07/01
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【徹底解説】路線価の計算方法と相続税評価の落とし穴

はじめに

土地の価格は相続税や不動産取引など、さまざまな場面で重要な役割を果たします。しかし、正確な土地価格を知るのは簡単ではありません。ここでカギとなるのが「路線価」という概念です。路線価とは、国税庁が毎年発表する市街地の1平方メートル当たりの標準的な価格のことです。ここでは、この路線価を中心に、不動産の価値判断や各種税金の計算方法について詳しく解説していきます。

路線価の概要

  1. 路線価は国税庁が公表する、宅地1平方メートルあたりの標準的な価格のこと。
  2. 金額は地価公示価格の約8割の水準。
  3. 相続税や贈与税の計算の基準として使われます。

実際の路線価図についてはこちら:国税庁サイト

路線価の意義

土地の価格は、立地条件や利便性、周辺の住環境などによって大きく変動します。路線価は、このような様々な要素を考慮して決定される、信頼性の高い指標なのです。市街地における標準的な価格を示す路線価は、不動産取引はもちろん、相続対策や節税対策においても欠かせない存在といえるでしょう。

特に相続税や贈与税では、正確な土地の評価額を算出する必要があります。路線価を活用することで、円滑な申告と税務対策が可能になるのです。

路線価の公表

路線価は毎年7月初旬に国税庁のウェブサイトで公開されます。最新の路線価図や評価倍率表を確認することで、その年の土地評価が可能になります。

公表される路線価は、1月1日時点の宅地の適正価格を基に、不動産鑑定士など専門家によって決定されています。都心部では最高路線価が1平米100万円を超える地域もあり、地域間の価格差も顕著に表れています。

路線価の活用場面

路線価は以下のような場面で活用されています。

  • 相続税・贈与税の計算
  • 不動産取引の価格査定
  • 固定資産税の算定
  • 法人税・所得税の計算

特に相続時の土地評価では、路線価が重要な指標となります。自身で評価額を計算する際にも、この路線価が極めて有用なツールとなるのです。

路線価の見方

路線価を正しく理解するには、その見方を把握する必要があります。路線価図には道路ごとの路線価が記載されていますが、土地の形状や面する道路の組み合わせによって、適切な補正が必要になります。

路線価図の読み方

1.まずは自宅など路線価を確認したち土地の前面道路の価格を確認する。

路線価図には、道路に面する宅地1平方メートルあたりの価格が示されています。一般的に「○○Aの○○」という表記になっており、最初の数字が路線価、アルファベットが借地の場合の補正係数を表しています。

路線価図の詳しい見方はこちら:国税庁サイト

2.320Cの表示であれば、平米単価は320,000円×土地の平米数=その土地の路線価となる。

数字にゼロを3つ足すと覚えておくといいと思います。上が藤沢市にある司法書士事務所LEGAL FRONTの所在地の路線価図です、当事務所の場合だと320Cなので、320にゼロを3つ足して平米単価は320,000円ということになります。

なお、アルファベットが大文字のA~Dなら借地権割合100%~70%、小文字のe~gなら借地権割合60%~40%を意味します。

節税のカギとなる土地形状による補正

路線価は道路に面する標準的な宅地を想定した価格ですが、実際の土地はさまざまな形状をしています。このため、以下の補正を加える必要があります。ここが専門家でないと難しい部分でまさに専門家である税理士のウデの見せ所です。

  • 奥行価格補正率: 土地の奥行距離に応じた補正
  • 側方路線影響加算率: 角地や準角地の場合の加算
  • 二方路線影響加算率: 表裏に路線がある土地への加算
  • 間口狭小補正率: 間口が狭い場合の減額補正
  • 不整形地補正率: 不整形地の場合の減額補正

土地の形状を正確に把握し、適切な補正を行うことが、正しい評価額算出のカギとなります。

土地形状による補正について詳しくはこちら:国税庁サイト

路線価がない地域の取り扱い

主な市街地以外の地域については、路線価が設定されていない場合があります。その際は、倍率方式で評価を行います。

倍率方式とは、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて算出する方法です。各地域の倍率は、国税庁の評価倍率表で確認できます。

路線価による計算方法

路線価を用いて土地の評価額を計算するには、いくつかのパターンがあります。ここでは、最も一般的な1路線に面した土地と、複数の路線に面した土地の場合について解説します。

1路線に面した土地の計算

1本の路線にのみ面した土地の場合、以下の式で評価額を計算できます。

評価額 = 路線価 × 土地面積 × 奥行価格補正率

路線価は路線価図から確認し、土地面積と奥行価格補正率を乗じることで、正しい評価額が算出されます。

2路線に面した土地の計算

表と裏の2路線に面した土地の場合、正面路線価と裏面路線価の両方を考慮する必要があります。

  1. 正面路線価と裏面路線価に、それぞれ奥行価格補正率を乗じる
  2. 金額の高い方を正面路線価とみなす
  3. 正面路線価に土地面積を乗じた金額に、二方路線影響加算率を加算する

つまり、正面路線価に基づく評価額に、裏面路線が加わることで加算が生じる点が重要なポイントです。

3路線以上に面した土地の計算

3路線以上に面した土地の場合、それぞれの路線価に応じた補正を加えて評価額を算出します。

  1. 最も高い路線価を正面路線価とする
  2. 正面路線価と土地面積を乗じて基本評価額を算出
  3. 側方路線に側方路線影響加算率を乗じた額を基本評価額に加算
  4. 裏面路線がある場合は二方路線影響加算率を加算

このように、複数の路線に面する場合は、正面路線価に応じた基本評価額に、側方・裏面路線の補正を加えることになります。

相続税評価における注意点

相続税では、被相続人が所有していた土地の評価額を正確に算出する必要があります。この際、路線価を活用しますが、いくつか留意すべき点があります。

借地権割合の考慮

借地の場合は、自用地としての評価額から借地権の価格を差し引いて計算する必要があります。借地権割合は路線価図のアルファベットから確認でき、これを参考に評価額を算出する必要があります。

相続開始時点の路線価の使用

相続税評価では、相続開始時点の路線価を使用する必要があります。相続開始後に路線価が改定されても、遡って適用することはできません。

固定資産税評価額との違い

固定資産税の評価額とは計算方法が異なることに注意しましょう。固定資産税の評価額は地価の7割程度の水準ですが、相続税評価は地価の8割相当の評価となる点が大きく異なります。

専門家へのサポート依頼

路線価の計算は複雑な部分があり、自身で正確に行うのは難しい面があります。相続にかかる税額が大きい金額になるケースも多いため、できれば専門の税理士などに相談することをおすすめします。

まとめ

路線価は、土地の適正な評価額を知る上で欠かせない指標です。相続税・贈与税の計算や固定資産税の算定、不動産取引の際の価格査定など、さまざまな場面で路線価が活用されています。

一方で、路線価の適切な読み取り方や補正方法を正しく理解するのは難しい面もあります。できれば専門家に相談し、的確な助言を得ることをおすすめします。相続対策や節税対策を検討する際は、ぜひ路線価という概念を意識しておきましょう。

よくある質問

路線価とは何ですか?

p: 路線価とは、国税庁が毎年発表する市街地の1平方メートル当たりの標準的な価格のことです。この価格は地価公示価格の約8割の水準となっており、相続税や贈与税の計算の基準として使われます。

路線価がどのように活用されますか?

p: 路線価は、相続税・贈与税の計算、不動産取引の価格査定、固定資産税の算定など、さまざまな場面で活用されています。特に相続時の土地評価では、路線価が重要な指標となります。

路線価の見方はどうすればいいですか?

p: 路線価図には道路ごとの路線価が記載されていますが、土地の形状や面する道路の組み合わせによって、適切な補正が必要になります。土地の形状を正確に把握し、奥行価格補正率や角地補正など、適切な補正を行うことが重要です。

専門家に相談することはお勧めですか?

p: 路線価の計算は複雑な部分があり、自身で正確に行うのは難しい面があります。相続にかかる税額が大きい金額になるケースも多いため、できれば専門の税理士などに相談することをおすすめします。

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