はじめに
相続を放棄する際には、慎重な手続きが必要となります。家庭裁判所から送付される「相続放棄照会書」とその回答書の作成は、この手続きの重要なステップとなります。本記事では、相続放棄照会書の記入方法や注意点について詳しく解説していきます。
相続放棄照会書とは
相続放棄を申し立てると、家庭裁判所から「相続放棄照会書」が送付されてきます。この書類は、申述人の相続放棄の意思を確認するためのものです。
照会書の内容
照会書には、以下のような内容が記載されています。
- 被相続人との関係
- 被相続人の死亡を知った時期と経緯
- 相続財産の状況(処分や消費の有無)
- 相続放棄の理由
- 申述人の意思確認
照会書の内容は家庭裁判所によって異なりますが、おおむね上記の項目が含まれています。申述人は、これらの質問に対して正直に回答する必要があります。
回答書の作成
照会書には「回答書」が同封されており、申述人はこれに回答を記入する必要があります。回答書の作成にあたっては、以下の点に注意しましょう。
- 申述書と同じ印鑑を使用すること
- 期限内に返送すること
- 申述書の内容と矛盾しないように正確に記入すること
回答書は、裁判所が相続放棄の申述を受理するかどうかの判断材料となるため、慎重に作成する必要があります。
照会書の記入例
ここでは、相続放棄照会書の具体的な記入例を紹介します。
被相続人との関係
この項目では、被相続人との関係性を記入します。例えば、以下のように記載することができます。
- 「被相続人は私の父であり、同居していました。」
- 「被相続人は私の祖母で、別居していましたが頻繁に面会していました。」
同居や面会頻度など、関係性を具体的に記すことが重要です。
死亡を知った時期と経緯
この項目では、被相続人の死亡を知った日付と経緯を正確に記入する必要があります。例えば、以下のように記載することができます。
死亡を知った日 | 経緯 |
---|---|
令和4年5月1日 | 同居の父が倒れているのを発見し、病院に搬送されたが死亡した。 |
令和4年8月15日 | 別居の祖母が入院していたが、その際に死亡したことを知らされた。 |
死亡から相当期間が経過している場合は、その理由も説明する必要があります。
相続財産の状況
この項目では、相続財産の処分や消費の有無を正直に記入しなければなりません。例えば、以下のように記載することができます。
- 「相続財産は一切処分も消費もしていません。」
- 「葬儀費用として○○万円を相続財産から支出しました。」※常識の範囲内の葬儀費用を遺産から支払っていた場合は相続放棄が可能です。
遺産の一部を処分した場合でも、相続放棄が認められる可能性はありますが、その場合は十分な説明が求められます、専門家への依頼を検討するべきケースと言えます。
まとめ
相続放棄の手続きは複雑で注意が必要ですが、なかでも照会書や回答書への適切な対応が重要となります。内容を正しく理解し、期限内に正確に回答書を作成することが肝心です。不明な点があれば、必ず早めに専門家に相談することをおすすめします。
よくある質問
相続放棄照会書とはどのようなものですか?
相続放棄を申し立てると、家庭裁判所から送られてくる書類で、申述人の相続放棄の意思を確認するためのものです。被相続人との関係、死亡を知った時期と経緯、相続財産の状況、相続放棄の理由などが記載されています。
相続放棄照会書の回答書はどのように作成するのですか?
回答書には申述書と同じ印鑑を使用し、期限内に返送する必要があります。また、申述書の内容と矛盾しないよう正確に記入する必要があります。回答書は相続放棄の申述を受理するかどうかの判断材料となるため、慎重に作成する必要があります。
相続放棄照会書の記入例を教えてください。
被相続人との関係は具体的に記入し、死亡を知った日付と経緯を正確に記入します。相続財産の状況については、処分や消費の有無を正直に記入する必要があります。
相続放棄の手続きで注意すべき点はありますか?
照会書の内容を正しく理解し、期限内に正確に回答書を作成することが重要です。不明な点があれば、早めに専門家に相談することをおすすめします。